昨日はパワーが点滅状態。軍艦が沈没したり浮上したりを繰返してパワーダウンでした。補給ほぼ完了。(笑)そんなわけで日記のUPは写真だけでとりあえず済ませちゃったので、今朝、いろいろと確認も兼ねて調べていたら、実はイタリー通りの向かい側や、近所の公園にも同種の泉があるというので、早速確認にお出かけして更新遅くなりました〜。
今日ご紹介するのは、FONTAINE WALLACE(フォンテェヌ・ヴァラス)といい、訳してヴァラスの泉とでも称しましょうか。パリ市内のあちこちにある飲料用の給水機です。写真のはいつかお見せした「中華街の桃源郷」の中にあります。ここは遊歩道。ついついこういうものは見逃しがちで、しばらく日記で13区の風景をご紹介しようと思わなければ、毎日のように見てても思いつかなかったかも。
さて、これは1872年8月に第一号が設置されたとか。ヴァラスというのはこの給水機を発案してパリ市に寄贈した人の名前です。 時はナポレオン3世のプロシアとの戦争でのさんざんな結果に見舞われていた1870年。パリ市内は市民の不満がつのるばかりで市街戦のような状態で荒れ狂っており、それから立ち直るには街を再建しようということに。博愛主義も万延していた当時、貴族や資産家たちの間では慈善事業を施すことが大変流行っていました。そんな時代背景の中、イギリス人の貴族でフランスに住んでいたSIR RICHARD WALLACE(英語読みならリチャード・ウォーレス卿、フランス語読みならリシャール・ヴァラス卿:1818〜1890)が、飲料水に窮していたパリ市民に飲み水を提供しようということで、パリ市に公共の泉の設置を申請したのでした。自ら基礎をデザインして、知人の彫刻家LEBOURGルブールに依頼して完成させて寄贈したのが始まり。といってもこのヴァラス卿は大変謙虚な人だったそうで、泉自体には自分の名前はいっさい記されていません。1878年には57個、1900年にはすでに100個に達していたとか。泉は3種類あり、写真のは大きい型のもので高さ3メートル弱。現在パリ市内には65個あるとされています。これは「純真」「善良」「節度」「愛徳」を女神4体で象徴し天蓋を支えているデザイン。真ん中から水が湧き出ますが、冬の間は凍ってしまったりするので水が止められています。この水は地下水道からパリの貯水所に引かれたものを利用しています。庵主もパリに来たばかりの頃は試しに飲んでみた事あるけど、夏だったから冷たくて美味しかったと記憶。
他に小さい型でもっとシンプルなのが9個、壁に設置されているもので現存するのは1個だそうです。今は二つの私企業がセーヌの左岸と右岸に分かれて管理経営しているので、正確な数値は不明だとか。
で、今朝、早速確認に出かけたイタリー通りには残念ながらなくなっていて、小さいタイプのがあるとされていた公園では、新しく近代的な飲料給水機に変わっていました〜。
このヴァラス卿は、実は美術品の蒐集家としても有名で、そのコレクションは世界中の美術館にも引けをとらないほどだそうです。1897年以降、ウォーレス・コレクションとして英国王室の所有となりロンドンのマンチェスター・スクエアに保管されているそうです。
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